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読み物 <うちなーたいむかふぇ>

2020年6月19日読みもの

人々の雑踏に飲み込まれて、毎日満員電車に

押しつぶさせながら出勤する。

職場に着くとすぐにメールをチェックして、

その日の業務に優先順位をつけてリストアップする。

1日の業務をこなしている間にも新たな業務が発生して、

その日の予定を圧迫していく。

なんだかんだ、毎日残業することになり、私と同じく残業して

きたであろう疲れた人々でいっぱいの満員電車に揺られて家路につく。

 

玄関から一直線に寝室へ向かい、倒れ込むようにベッドにダイブする。

それから呼吸を整えて、むっくりと身体を起こして夕飯の支度をする。

 

ひとり暮らしの夕飯なんて簡単なものだ。

パッと作ってパッと食べてしまう。洗い物だって面倒だから、

調理器具も食器も極力減らして少しでもラクをしようとする。

誰かが「食べてくれる人がいなきゃ料理なんてしない」と

言っていたけれど、それは本当だなぁと思う。

ひとり暮らしで、自分のためだけに、インスタ映えするような

料理を作って写真に収めてゆっくりと味わうような、そんな人に私はなれない。

 

そんな典型的な「働く独り暮らし女性」の私にとってのとっておきの癒しは、
食後の「うちなーたいむ」だ。

 

大学の友人と一緒に、社会人になってから休みを合わせて訪れた沖縄。

そこで私は沖縄に流れる「うちなーたいむ」の魅力に

どっぷりとはまってしまった。

 

東京では感じられないゆったりと流れる時。

笑顔ひとつ作るにも、言葉ひとつ発するにも、

たっぷりと贅沢に時間をかける沖縄の人々の間に流れる

独特な時間に、すっかり魅せられてしまった。

 

沖縄では自然の流れもゆったりとした「うちなーたいむ」で、

毎日毎日東京のビル風のものすごい風圧と暴力的な風速に

頬を殴られている私にとっては、

そよそよと頬を優しく撫でてくれる潮風がとんでもなく心地よく感じた。

 

そんな沖縄で、大地の土を使って作られた「やむちん」という

焼き物のカップを見つけて「このカップでゆっくりとコーヒーを楽しみたい」

と思い、東京へ連れて帰ってきた。

 

そう、このやむちんのカップで一服のコーヒーを飲む時間、

この「うちなーたいむ」こそが、私の至福の時間なのだ。

 

 

沖縄の美しい海に揺れるサンゴの模様をあしらった

やむちんのカップに、丁寧にコーヒーを淹れる。

インスタントのものではなく、きちんと豆を挽いたもので淹れると、

冷めてからの味の変化も楽しめるから、

より一層ゆっくりと時間をかけてコーヒーを楽しめる。

 

コーヒーを淹れながら沖縄の音楽を流して、

それからソファに腰掛けてゆっくりとコーヒーを楽しむ。

読みかけの小説や、雑誌を開いて、

スマートフォンは遠く離れた部屋で充電させておく。

 

こうしてゆったりと流れる「うちなーたいむ」を

東京の狭いワンルームマンションで再現するのに、

やむちんのカップは必須アイテムだ。

カップを眺めると友人と楽しんだ沖縄の思い出が蘇り、

幸せな気分になれる。

 

また一緒に行きたいな、

そう思いながら私は両手でやむちんのカップを包み込んで、

リラックスした気持ちで目を閉じた。