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七夕 <小さな願いごと>~前編~

2020年6月20日読みもの

~前編~

「ねぇねぇお母さん、

どうして織姫と彦星は七夕の時にしか会えないの?」

夕飯の支度をしている時に、

幼稚園帰りの子どもに聞かれて、

そういえばなんでだったっけ、と思い料理の手を止めた。

 

 

ええと、確か、織姫と彦星は、

誰か神様的な人を怒らせたんだっけ…?

いや、それは別の神話だったっけ…?

 

「どうしてだと思う?」

 

と、その場をやり過ごし、後でこっそり調べようと思うと、

子どもの質問は私が思っていたよりも

ずっと難題だったということを突き付けられた。

 

「うーんと、幼稚園でお話読んだの。

織姫と彦星はさあ、

結婚して幸せに暮らしていたけど

仕事しなくなっちゃったんでしょ?

それが不思議なんだよね。

 

だって、お母さんもお父さんもお仕事してるのに。

それで神様が怒って離れ離れにしてさ、そしたら今度は悲しくってお仕事しなくなっちゃったんだよね?」

 

知っていた…!

 

この子は、私が答えようとしていたことを、既に知っていた…!

 

「そ…そうだね…」

 

では一体この子は何を聞きたいというのだ。

「それでさぁ、

1年に1回だけ会わせるから

仕事しなさいって、

僕だったら絶対嫌だな~」

 

ほうほう。

 

「だってさ、ミキちゃんと1年に1回だけ会えるから、

毎日がんばって幼稚園に行けって言われたら、絶対嫌だって言っちゃうよ」

 

ん?なんか話がすり替わっているぞ。

 

ミキちゃん、大好きだもんね。

子どもの支離滅裂な話を聞くのは、楽しい。

七夕の素朴な疑問かと思いきや、

なぜか大好きなミキちゃんと会えないのは嫌だという自分の話になっている。

 

「じゃあ、

ミキちゃんと毎日会えた方が

色んなことが頑張れるの?」

そう聞いてみると、

息子は満面の笑みで「うん!」と答えた。

 

「だからさ、どうして神様は

織姫と彦星を七夕の時しか会えな

くしちゃったのかなって思ったの」

 

話が戻った…!

 

「お母さんも、お父さんと年に1回

しか会えなかったら、

お仕事頑張れないでしょ?」

 

ふ…深い…深すぎる…。

 

例えば、

単身赴任で1年に1回しか家族と

会えなかったとしたら、

遠く離れた家族を想い、仕事にも精が出るだろう。

毎日一緒に暮らしていても、家に帰って出迎えて

くれる家族の笑顔のために、仕事に精を出すだろう。

でも、確かに遠距離恋愛が長く続き

にくいという傾向にあるのも、

また事実なのだ。

 

子どもの質問は常に痛いところを突いてくる。

こういう時、同じ状況に主人が立たされたら、子ども向けではなく、自分自身の考えを

そのまま息子に伝えるのだろう。

 

私は料理の手を止めずに、息子にそのまま自分の考えを言ってみた。

息子は話半分に聞いているようだったが、

「ふーん、何回会えるのかは人それぞれってことだね」

と妙に大人っぽい反応を見せた。

 

「さ、ご飯で来たよ。お父さん呼んできて」

2階でパソコンをいじっている主人を呼びに行かせ、

私はお気に入りの陶器の大皿に今日のおかずを豪快に盛り付けた。

 

~後編につづく~